R.U. #2 団結



それぞれの任務を把握しきったところで、ダームが帰ってきた。

「お疲れ様。明日の作戦は決まった?」

「俺たちの任務は決まった。お前の任務は引き続き誘導だが、いいか?」

「任せといて。というか、他に任せられる人も居ないでしょ。」

相変わらず自信に満ちたその表情。しかし現に計画は順調に進んでいる。心配する必要などこれっぽちもない。

「今日はとりあえずセレンの爆薬が完成するまで計画の見直しをしておこう。念入りに確認しても損は無い。」

レジスタンス・アンダーグラウンド2日目

レート・ローレンス(Rate-Lawrence)
コードネーム:リポ
担当:電子科学研究所より研究所同士を繋ぐ長い銅線の強奪、原子科学研究所にて爆発物連鎖用センサーの設置、電子科学研究所より原子科学

研究所を繋ぐセンサーの銅線の接続

ロニー・ローレンス(Lony-Lawrence)
コードネーム:パテ
担当:原子科学研究所周囲一帯の電波管理

アンジェル・アルゴン(Anjuel-Argon)
コードネーム:コラ
担当:県内の警備員、警官その他部外者、邪魔者の排除

セレン・アクセ(Celen-Axe)
コードネーム:ミネ
担当:爆薬調合

ネロ・クリプトン(Nero-Krypton)
コードネーム:サド
担当:電子科学研究所内捜索願いの提出、連絡、本部にて状況の説明

トラン・ロジ(Tran-Rhodi)
コードネーム:メル
担当:外部からの戦車、ヘリコプターのジャック

ダイス・ジスプロス(Dice-Gispros)
コードネーム:ミス
担当:外部からの戦車、ヘリコプターのジャック用、電波傍受用アンテナの設置

ウィラ・テルリド(Vila-Telluride)
コードネーム:オペ
担当:例の液体散水

ラド・テルリド(Lado-Telluride)
コードネーム:リン
担当:リモート爆弾の設置

ダーム・テラス(Dame-Terrace)
コードネーム:ビス
担当:警備誘導

エリル・タングステン(Elille-Tungsten)
コードネーム:コン
担当:電化製品取り扱い店舗より基盤等の強奪


「以上だ。」

それぞれの任務の確認を終えたところで、有無を言わず次の任務に備え準備を始める。

今回行う任務はなるべく大きめの車が必要とされる。あらかじめ用意しておくつもりだったが、出来なかったものは仕方が無い。急いで俺とエリル、ウィ

ラで作戦用の車を強奪しに向かう。

向かった先はデパートだ。この時間は企業の車が多く、作戦用の車を頂くにはもってこいの状況だ。

まずは俺とエリルで目的の車を選びに行く。ウィラは助手席で俺らからの連絡を待つ。なるべく外からは普通の子供として見られるようにしなくてはな

らない。今ここで注意を引き寄せては任務の進めようが無い。

俺等2人は企業の車の上に乗り込み、銃を構え運転手がその場を離れるのを待つ。

車はデパート内に入り込み、ある場所へと向かう。

着いたところはダンボールが山積みになっている物置のような場所だった。

幸いなことにその場にいた人物は俺等2人を含め4人。強奪するには少々簡単すぎるかもしれないが、それに越したことは無い。

運転手が車を降り、荷物を運んでいるところを確認し、エリルに右手で合図する。

そしてエリルは車の上から運転手に優しい女声で囁く。

「おにぃさぁん。」

甘い囁きにビクッとしながら運転手はゆっくりとこちらを向く。奥にいた小太り気味な作業員はこちらの声に全く気付かず作業を続けている。

少々不安気な表情を浮かべながらも、作り笑いでエリルに話しかける。

「お嬢さん、そんなところで何してるの?他の人に見つかったら大変だから、すぐ戻りなさ・・・い?」

運転手はエリルが右手に構えている物を目に捕らえると、その場に凍りついた。

そしてエリルはニッコリと笑顔を見せつけ、構えていた銃の引き金を引く。

突然の銃声に奥にいた従業員も流石に反応し、こちらを除くようにして見る。

俺はエリルに再び合図を送り、ウィラに連絡させる。

そして、その場に倒れていた運転手を助けに行くかのように、全力疾走で俺等の元へ向かう。

しかし、俺の構えるマシンガンを眼にし、即座にその場から去ろうとするが、距離にして2m。勿論逃げられるわけも無く、俺の構えるマシンガンの餌食

となった。

俺等は大型車のトランクに乗り込み、ウィラが来るのをその場で静かに待つ。

「可哀想にね。」

とてもそう思っているようには見えないくらい不気味な笑みを浮かべながらエリルは銃を構え続ける。

そして数秒後、ウィラは車を運転してこっちに向かってきた。

「ご苦労様。」

ウィラはその場に車を乗り捨て、トランクに乗ってる俺等を確認しドアを閉め、大型車に乗り込む。

デパートから抜け出す際もこれといった問題は無く、準備は整った。

沈黙とした車内。その場で待ち続けること10分程。ようやく秘密基地へ到着する。

「ただいまっ。」

陽気な笑顔をメンバーに振舞うウィラ。

「早速出発するぞ、皆乗れ!」

手で合図を送り、今回の作戦に向かう者を全員トランク内へと誘導する。

ここでモタモタしている暇は無い。急いでトランクの中へ連れ込み、全員乗ったのを確認して壁を2度叩きウィラに合図を送る。

合図を確認したウィラの手信号を確認し、その場に座ろうとした瞬間急な加速に煽られ何人か壁に頭を打ち付ける。

一瞬でウィラに対する怒りを感じたが、今は抑えよう。

出発から2分程。ダイスの目的地に到着する。

「任務が終わったら俺は秘密基地に戻る。応援が必要なときはいつでも連絡してくれ。」

外の様子を人目確認し、ダイスを残し現場を去る。

再び車に揺られながら次の目的地へと向かう。この時俺は初めて乗り物系に弱いと気付いた。

この町の道路は酷く荒れている。マンホールの上を通りかかるたびに酷い衝撃が伝わる。

トランクの中で揺られるメンバー達の半分は気持ち悪そうな表情を浮かべている。中には今にも吐き出してしまいそうなくらいに苦しそうに呼吸をする

者も何人かいた。

ガタンガタンとトランク内に響き渡る酷い音に魘されながら走り続けること5分。車は警察署から500m程離れた場所で停止した。

ここでネロは任務へと移る。トランクを降り、残ったメンバーに「頑張って」と伝えると彼女は静かにトランクのドアを閉め、鍵をかけドアを2回叩き出発の

合図をウィラに送る。

その場から30秒ほど。電化製品を取り扱う大きな店の裏にある小さな駐車場に車を駐車し、今回の任務を行う上で使用する武器の確認を済ませると

、静かにトランクのドアを開けるエリル。

エリルは自信満々の表情を浮かべながら何も言わずトランクのドアを閉めた。

出発の合図をウィラに送り、エリルは早歩きで店の中へ入る。

交通量が少ないのか、ノンストップで車は走り続ける。その間、トランク内にはひたすら騒音だけが響き渡る。

全員が下を向き、力尽きたような体勢で目的地をに着くのをじっと待つ。

そして先ほどの店から出発して12分ほど。適当な場所に車を止め、アンジェルをトランクから降ろす。

降ろした場所は中学校の校門前。恐らく施設の者が口を割ったのだろう。パトカーが2台駐車場に止められているのが見える。学校の中で聞き込みな

どされている所をまとめて狙うという戦法だろう。

現在の時刻は8:42。作戦は予定よりも遥かに順調に進んでいる。

このままペースを崩さず、次々とメンバーを目的の場所へ送り届けて行く。

時刻が9:32を廻ったところで、車はいよいよ原子科学研究所に着く。

早速車のトランクに例の液体を詰め込み、蛇口をひねり、液体が流れるのを確認する。

「あんまりむやみに詰め込んだら駄目だからね。重すぎても逆に時間がかかるし、この車はそこまで馬力があるわけでもない。」

せっせと詰め込んでいる俺にきつく叱る目でそう投げ掛けるウィラ。

とりあえず車のことに関しては彼女に任せるとしよう。ある程度詰め込んだところで、車が問題なく走れることを確認して早速液体散水に向かわせる。

残るは俺の任務だ。ウィラが言っていたダンボールを探しに裏口へ入る。

『ダイスからの荷物は全部研究所の裏にある非常口から入ってすぐの場所に置いてある。白いダンボールが4個積み重なってるうちの下から3個目。』

記憶を頼りに4つの白いダンボールが置かれている場所を探すが・・・。

茶色、茶色、茶色、白、白、茶色、白に黄色のストライプ。

・・・。

とりあえずストライプの箱を退かせ、2つのダンボールを確認する。一つ目の箱を開けてみると中には隙間無く詰め込まれた白衣。

そしてもう一つのやけに重たい箱を開けると、息苦しくなる程の薬臭がその場に漂う。

この臭いからして中身に間違いはなさそうだ。念のために持ってきた空のダンボールに先ほどの白衣を半分ほど詰め込み、ガムテームできっちり封

をして元の場所に戻す。

そしてダンボールの後始末を済ませ、センサーの設置に移る。

1日目に設置したリモート爆弾に沿ってセンサーを設置していく。なるべく確実に爆破を誘導させるために、今回は下から順にセンサーを設置する。

しかしここへきて睡魔が襲ってくる。体が軽くなるような感覚。徐々に猫背になりながら、息を荒くして最上階まで辿り着いた。

設置したセンサーの数は若干多目の20個。そして残るはこのセンサーを電子科学研究所まで引っ張ることだ。

俺が一つの任務を終える頃にはもうウィラは車の中で待機していた。

「遅いよ。」

この任務の辛さをまるで知らないウィラは叱るように投げ掛ける。

「お前の車が階段を登れさえすればこんな時間をかけて苦労することは無かっただろうな。」

白い目でウィラを睨みつけ、捨て台詞を吐く。

「とりあえず、この銅線を電子科学研究所まで引っ張るから。ゆっくり向かってくれ。センサーを引っ張ると俺等も死ぬぞ。」

「上等。」

ニヤリとしたその表情からは何処と無く自信を感じる。

そして、出発の合図をウィラに送り、時速10キロで電子科学研究所まで向かう。

腕に巻いてある銅線をゆっくりと、極めてゆっくりと銅線を引っ張る。

集中力を研ぎ澄まし、原子科学研究所までゆっくり、ゆっくりと銅線を伝わせる。

「もうちょっとスピード下げようか?あんた目が死んでるよ。」

彼女にしては珍しい遠まわしな気遣いの言葉に若干の不審を抱きながらも俺はやる気を振り絞り作業を続ける。

そのまま作業を続けること20分。やっとの思いで車は原子科学研究所へ着く。

俺は大きなため息を吐き捨て、その場から少し歩いた先にあるセンサーに銅線を接続する。

しかしながらセレンの作る装置は複雑すぎて設置するのにかなりの時間がかかる。

装置のあちこちを眺めながら接続を試みようと苦戦している時に、同所で任務を遂行していたロニーがマシンガンを構えながら現れた。電波を取得す

る為に周波数を調べていたらしい。

「なんだ兄さんか、びっくりしたよ。そっちの方からガチャガチャ物音がしたから誰か警備の人でも嗅ぎ付けてきたのかと思ったよ。」

音の正体が俺だと判明し安心したのか、ロニーは銃のセーフティ装置を掛け、続けて口を開く。

「周波数はもう全部取得できた。今日は警備が来る心配も無いから、今のうちに念入りに装置の周りを確認してくる。それまで待ってて欲しいんだ。」

「タイムリミットは今から・・・そうね、10分。時間切れのときは一旦秘密基地に戻ってレートを送ってからまた戻ってくる。レートも仕事があるだろうしね。

なるべく早く頼むよ。」

またまた珍しいウィラの言葉。彼女に何らかの異変でもあったのだろうか。

更にロニーも珍しく今回の任務に至っては真面目に行っている。ロニーやウィラの身に何かあったのだろうか?そんな小さなことが気になりつつも、ト

ランク内でロニーを待つことに。

車に向かい、トランクに手を伸ばすが鍵がかかっていてドアが開かない。そして車両が一定のリズムを小刻みに刻みながら揺れている。妙に嫌な予

感を感じされる。

とりあえずウィラの無事を確保しなければならない。俺はウィラの無事を祈り運転席へ向かって走った。そして、俺の目に飛び込んだものは・・・。

ヘッドホンで音楽を聴きながらヘッドバンキングをするウィラだった。

無駄に心配性な自分に苛立ちを感じる。ウィラをしかってやりたいところだが今ここで大声を出してもより危険な状況を招かざる終えない。

静かに運転席側の窓を叩き、両手で窓を開けるよう指示し、彼女に伝える。

「トランクの鍵をくれ。」

「トランクの鍵?」

「トランクの鍵。」

「トランクの鍵ねぇ。」

「そう、トランクの鍵。」

「はい、トランクの鍵。」

妙な流れが始まったかと思うとウィラはすんなりと俺にトランクの鍵を手渡す。

手渡された鍵を使いトランクのドアを開け、中に乗り込みじっと待つ。

車内に設けられたこの広い空間は真っ暗でエンジンがかかっていない間は身動きすら困難になる。非常に心細くさせる空間だが、このくらい空間以外

に安全に待機できる場所は他にない。

精神を保ちながら待ち続けること8分。ようやくロニーが任務を終え、戻ってきた。

トランクのドアを開けて中に入り込むロニー。急いでいたのか、彼はぜぇぜぇと息を荒くしていた。

ドアの閉まる音を確認し、一気に加速する大型車その重力に煽られ、大きくロニーに凭れ掛かってしまう。

「うぁっ、ちょっと兄さん・・・。」

ロニーは思わず苦しそうな声を上げ、疲れきった体で俺の体を起こそうと両手で俺の体を支えるようにし、俺もその場から起き上がろうと目の前にある

突起物を掴み、上半身を起こす。すると今度はロニーが俺の方を見て呟く。

「ねえ兄さん・・・膝枕、してもらってもいい?」

「・・・あ、え?」

俺はロニーからのいきなりの言葉に動揺してしまう。するとロニーは微笑んで伸ばしきった俺の足の上に頭を下ろし、ゆっくりと溜め息を吐く。

「小さい頃、よくしてもらったよね。覚えてる?あの頃は兄さんが進んで膝枕してくれて・・・そのまま寝ちゃった僕をベットまで運んでくれてさ・・・すごく

嬉しかったよ。兄さん。」

「・・・そうだな、あの頃のお前は甘えん坊でな・・・ははっ、今でもか。部屋に俺等2人しか居ないときなんかはよくおねだりしてきてたよな。でも、俺がこ

んなことしてやってるのもお前が弟だからだ。お前が血の繋がってない他人だったら俺はこんなことしてない。」

「ありがとう。」

毎度の事ながら流石に弟であるロニーには逆らえない。少々恥ずかしさもあるが、今この時が、疲労感、辛さを忘れさせてくれる時でもある。

俺はそっとロニーの頭を撫でる。その度、耳や尻尾がピクッと反応する。そのまま静かに撫で続けるうちに、ロニーは静かに眠りに就いた。

「スー・・・スー・・・」と静かに眠るロニーを見ているうちに、なんだか俺も眠くなってくる。少しウトウトするが、このままだとロニーを起こしてしまうかもし

れないと、俺は目をパッチリと見開き、眠気を覚まそうと両耳を抓る。

しかし、ここ2日間の疲労が応えるか、段々と睡魔が襲い掛かってくる。

そうして睡魔と奮闘するうちに、やがて俺も眠りに就く。

この時、俺は全く気付いていなかったが、車はかなりゆっくり走っていた。恐らく全く物音一つしない車内から眠っていることを予測したのだろう。その

お陰で、俺とロニーはぐっすり眠っていた。つまり、言い換えれば最も見られたくない状況を最も見られたくない人物に見られたも同然ということになる

そんなことも知らずぐっすりと眠る俺は、いつしかロニーにもたれかかっていた。

そんなこんなで、少しの間の幸せはあっという間に終わった。

車が秘密基地に到着し、ウィラが大きな声で叫ぶ。

「おっはよぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」

「うわぁぁああ!!」

思わずびっくりしてしまう俺とロニーを見てウィラはその場で爆笑していた。そしてロニーは顔中を真っ赤にしてそそくさに秘密基地へ入る。

ウィラも秘密基地へ向かうかと思うと、トランクの中に入り込み、俺の耳を優しく掴んで思わぬ言葉を口にした。

「俺がこんなことしてやってるのは、お前が弟 だ・か・ら・だ。」

そしてゆっくりと耳を離し、その手で俺の頬を抓り「このこのぉ〜」と言わんばかりに抓り回す。

恥ずかしさで一杯になってしまい、眠気どころではない俺は俺の頬を抓っていたウィラの手を振り払い、猛ダッシュで秘密基地へと入り込む。

秘密基地へ入ると、メンバー全員が熟睡していた。勿論ロニーも熟睡しており、親切なことにロニーの隣が開けられている。

そして少し遅れてウィラがやってくる。そして「感謝してほしいね。あんたたち2人のために用意してやったんだからさ。」と俺に言い聞かせる。

俺はまさかと思い、ウィラをその場で叱ってやろうとするが、時既に遅し。布団の中で寝たふりをしていたダイスが俺に向かってこう囁いた。

「ロニーが起きちゃうだろ、早く行ってやれよお兄ちゃん。」

それと同時にウィラが俺の両肩を掴み、ロニーの元へと誘導する。必死に抵抗しようとするが、「今暴れたらロニー起きちゃうよ?それでもいいの?」と

いうウィラの言葉に負け、大人しく従うことに。

何故か2人分の大きな毛布が用意されており、俺はその毛布の半分を被り、静かに眠りに就こうとするが・・・。

「ほらほら、毛布1枚じゃあ寒いって。お兄ちゃんが暖めてやらないと。」

ウィラは俺をからかう様にしてロニーと俺をくっ付けようとする。

そんなウィラの手を振り払い、天井の電気を消して静かに眠ろうと毛布を顔まで被り目を閉じた。

・・・

「微笑ましいものね。美しき兄弟愛。ね?ラド。」モゾモゾ

「え・・・ちょ、姉さん何してんの・・・。」

「膝枕。」

「・・・最近の姉さん何か変。」

「そう?いいじゃない、たまには。それとも何時ものWildyな私のほうがいい?」

「今のほうがいいです。」



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